令和5年4月から岸川前学校長の後任として上天草看護専門学校の学校長を務めることになりました。
本校は昭和39年に龍ヶ岳町立上天草病院(現上天草市立上天草総合病院)が開院し、翌年の昭和40年に上天草病院附属准看護学院として発足しました。その後、上天草病院附属高等学院(2年課程)、上天草病院附属高等学院(3年課程)に拡大発展し、現在に至っている伝統ある学校です。本学の発展にご尽力いただきました関係者の皆様、そして学生一人一人の未来に向けて教育指導に当たってこられました教職員の皆様にこの場を借りまして心より御礼を申し上げます。
私は龍ヶ岳町で生まれ、そして育ち、平成18年より上天草総合病院の内科医師として地元に戻ってきました。自分が生まれた、また両親が勤務していた病院です。小学生の頃、当校の文化祭に母親に連れられて参加した懐かしい記憶があります。当時の校舎は面影を無くしてしまいましたが、平成28年に新校舎となり最新の実習設備及び器具・図書室・情報ネットワーク等が整備され充実しました。メインの実習先となる上天草総合病院は隣接しており、学びの環境としてさらに整ってきました。
これまでに多数の優秀な上天草看護学校の卒業生を輩出し、私も幸せなことに上天草総合病院でその卒業生とともに働き勇気や元気を頂きながら働いています。「すこやかな身体」、「いたわりの心」、「科学する看護」を校訓とし、社会の変化に対応できる資質の高い看護実践の育成を目指しています。
卒業後は、多くの患者さんと接していき、様々な心や身体の苦しみを聴いていかなければなりません
中には、しっかり苦しみを訴えることができない人もいるかもしれません。「きく」という言葉には、三種類の漢字があります。「門構えの聞く」(hear)には、声が耳に入るなど音を耳に感じること、「言偏の訊く」(ask)には、何か分からないことや,自分の頭の中の空白を埋めるために相手に質問して訊くこと、「耳偏の聴く」(listen)には、相手が何を語り表現しようとしているのかを注意深く集中して聴くことです。耳を傾けるという意味の「聴く」を自然にできる看護師、また傾聴することで、患者さんの不安や緊張を和らげ、信頼関係を築くことができ、それに応えることができる看護師を育成していたいと思っています。
教室の上の階には、自然豊かな海を眺望できる個室寮を完備しています。集団生活を通して、共に勉学に励み、絆を深め、卒業後も助け合う友として大きな財産になると思います。多職種と連携できる有能な看護師を育成できるよう、全力を尽くして精進いたす所存でございます。
何卒ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。